2018/08/19 公開
當麻寺の本堂 曼陀羅堂に入ってすぐ右側に賓頭盧尊者(びんずるそんじゃ)がおられます。
昔からなでたところの悩み・苦しみを和らげて下さると信仰されています。
釈尊の勅命を受けて永くこの世に住し衆生を済度する役割をもった16人の阿羅漢(あらかん)がおられます。
賓頭盧尊者は十六羅漢のお一人で、正式には賓度羅跋羅堕闍(ひんどらばらだじゃ)といい、インドから見て西方に多くの弟子を従えていたそうです。
白髪で長い眉が特徴といわれています。
もとは国の臣下でしたが、当時の国王さまがそのまじめで勤勉な姿を見て出家させました。
修行にも勤勉に取り組み、ついに阿羅漢果に達して神通力を得ました。
あるとき神通力を奢ったことを釈尊に咎められ、西の大陸に封ぜられてしまいましたが、衆人の請願によって帰ることを許され、その後は南天の摩梨山に住んでは釈尊滅後の人々を救ったそうです。
インドの小乗寺では賓頭盧尊者を上座に祀ったといわれ、中国では唐の時代まで聖僧として食堂に尊像を安置する決まりがありました。
日本では伽藍(がらん)の前に安置し、撫でることで除病を念願する風習が古くから行われてきました。よって、撫仏(なでぼとけ)ともいわれます。
東大寺大仏殿の前にも大きな賓頭盧尊者がおられますね。
當麻寺曼陀羅堂の賓頭盧尊者は、文政9年(1826年)6月に當麻寺奥院44世光誉定辯上人が勧進となって奉納されました。
仏師は山本印慶と伝わっております。