中将姫が感得し
蓮糸を染めて織り上げた伝説を持つ
當麻寺の本尊
當麻寺の本尊。観無量寿経浄土変相図のことで、天平宝字七年、中将姫が感得し蓮糸を染めて織り上げたという貴い物語が伝えられています。
図相は西方極楽浄土の壮麗さを表わしたもので、浄土三部経の一つに観無量寿経に説かれた韋提希夫人の物語に阿弥陀十六想観と九品往生の姿を周縁三方に区画して展開されています。
當麻曼陀羅の図像は、西方極楽浄土の壮麗さを表したもので、難しい教理を離れて、多くの人びとに浄土信仰への道を開きました。
中将姫の伝説で有名な観無量寿経浄土変相図(いわゆる古曼陀羅)は損傷が激しく現在公開されていません。
現在の曼陀羅堂の厨子にかかっているのが古曼陀羅の写本である「文亀本」や「貞享本」。宝物館にある「延宝本」は絵画になります。
奥院本堂に保管されている「綴織當麻曼陀羅」は古曼陀羅と同じ技法で作られ、例年11月初旬に公開されています。
▲綴織當麻曼陀羅を間近で見ると織られているのがわかります。
様々な資料に上記2つの表記が見られますが、基本的に浄土宗では「曼陀羅」、真言宗では「曼茶羅」と記しています。
もう少し詳しくご説明させていただくと、浄土宗は中将姫の織られた国宝綴織當麻曼陀羅の箱の表書きに「當麻曼陀羅」と書かれていることから、「當麻曼陀羅」を正式としております。また、この「陀」は當麻曼陀羅に顕されている西方極楽浄土の教主「阿弥陀仏」の「陀」であります。當麻曼陀羅など極楽浄土を顕した曼陀羅を「浄土曼陀羅」と呼び、「陀」という文字がよく使用されます。
真言宗は「金剛界曼荼羅」「胎蔵界曼荼羅」の二つのマンダラを信仰しております。
それら二つの曼荼羅は大日如来を中心としたこの宇宙を顕したもので「たいままんだら」とは異なりますが、「まんだら」には「曼荼羅」の文字を当てて「當麻曼荼羅」を正式としております。
問題は、當麻曼茶羅自体、當麻寺が真言宗中心になる前から存在することです。その時代は前述の通り「観無量寿経浄土変相図」と呼ばれていました。このような経緯から、表記を統一するのがとても難しいのです。
本堂の當麻曼陀羅(文亀本)
宝物館の當麻曼陀羅(延宝本)
綴織當麻曼陀羅(例年11月公開)
公開 | 非公開 |
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区分 | 国宝 |
製作時期 | 天平時代 |
公開 | 随時 |
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所在 | 曼陀羅堂(當麻寺本堂) |
区分 | 重要文化財 |
製作時期 | 室町時代 |
公開 | 非公開 |
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所在 | 曼陀羅堂(當麻寺本堂) |
区分 | 重要文化財 |
製作時期 | 江戸時代 |
公開 | 随時 |
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所在 | 宝物館 |
区分 | 県の重要文化財 |
製作時期 | 江戸時代 |
公開 | 11月上旬 |
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所在 | 奥院本堂 |
区分 | - |
製作時期 | - |