趣の異なる花と鳥の浄土世界を表現
平成30年秋、日本画の巨匠 上村淳之画伯によって當麻寺奥院「大方丈」に奉納された「花鳥浄土」。
30枚60面からなる大作は、大方丈の六室に趣の異なる花と鳥の浄土世界を表現しています。
方丈とは住職の居所のことをいいます。奥院には明治大正期まで二つの方丈があったことからそれぞれ「大方丈」と「小方丈」と呼ばれていましたが、現在は大方丈のみが現存しています。
大方丈の棟札には慶長17年との記載があり、1612年の建立であることがわかります。また修理の際、鬼瓦や化粧隅木墨書きにも慶長17年の記が発見されました。
桁行六間、梁間五間半の寄棟造で、12畳敷の間が上・中・下の三間、6畳敷の間が同じく三間あります。
12畳上之間の床の間には狩野派の筆によって玄宗皇帝・楊貴妃の物語が金碧画で描かれ、6畳上之間には水墨画が描かれています。
明治期までは六間全ての襖が金碧画で仕上げられていたといい、大方丈は「金の間」と呼ばれていましたが、明治の廃仏毀釈から太平洋戦争の混乱期に散逸してしまったと伝わります。
また6畳中之間は文化年間(1804~1818年頃)まで仏間として使用されていました。天井は絵天井となっていて、ここに牡丹の絵が描かれていたことから庭園に牡丹を植えて仏様の供え花とし、その牡丹が増えて當麻寺は牡丹の寺として有名になりました。
蝋燭の煤で変色してはいますが、今も古い牡丹の絵天井を見ることができます。
大方丈の南側には方丈庭園「二河白道の庭」が、北側には「茶室慈教庵庭園」があり秋には見事な紅葉となります。
公開 | 毎年11月下旬特別公開 |
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区分 | 重要文化財 |
製作時期 | 江戸時代 |